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ダイワ時計店スタッフブログ

スタッフによる時計紹介・修理雑記

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セス・トーマス(SETH THOMAS) 

本日ご紹介するのは「セス・トーマス(SETH THOMAS)」懐中時計。
ケースには「BAY STATE IMPERIAL COIN」とあるので、おそらくコインシルバー(0.800)。
ただし、内ブタはニッケルのようです。
1883~84年製、11石・5振動。「Cal.MODEL・1」と言うそうです。
ST2 (5) ST2 (3)

私、恥ずかしながら英国のメーカーだと思っていましたが
実は米国だったんですね。
道理で1月のアメリカ買付の際に、このメーカーのクロックがたくさんあったわけです。

19世紀初頭にセス・トーマスさんが創立し、
1883年前半から懐中時計の生産を始めたそうです。
バイヤーズガイドというネタ本によりますと、
1885年製のシリアルナンバーは「5000番」とのことなので、
この時計は懐中時計を作り始めた初期の個体のようです。

機械はこんな感じ。
ST (1) ST (2) ST (3)
地板から3本の柱が立ち、そこに輪列受けが乗っかります。
昔のイギリス製もこんな構造なので、勘違いしておりました。

難儀なのが香箱からアンクルまで一枚の受け(プレート)の作り。
何が大変かと言うと各ホゾを穴に入れるのが面倒。
何枚かに分割されていれば楽なんですが・・・。でもこの個体は素直に入ってくれました。

同年代のスイス製機械にはない造りで、結構楽しめました。

ところで、この時計の時刻合わせは剣引き式。
ST2 (1) ST2 (2)
表のフタをパカッと開けてつまみを取り出し竜頭を回して時刻合わせ。

文字板の下(裏輪列)はこんな感じ。
ST.jpg
昔の造りですね~。

文字板には12時から6時にかけて、また3時位置にヘアラインがあり
ガラスも12時方向が欠けて全体的に細かい傷多数あります。
ST2.jpg
でも、風防も多分当時のマンマだと思うのでそれも味。
なんせ、125年以上昔の老体ですから。

でも、精度はなかなか。
ゼンマイ全巻時で、DU約+15s/d、12U約+10s/d、3U約+5s/d、6U約-10s/d、9U約+10s/d。
最大誤差約25s/d。

ただし、振り角が約200°でイマイチ。
でも、精度も上々で、2~4番車の軸受けには石が使われていないので
敢えて強いゼンマイを入れて無理して振り角を上げませんでした。

何でスイスくんだりまで行ってアメリカ懐中を買ってきたのか・・・。
今となっては記憶が曖昧ですが、これも「縁」です。

どこのメーカーでもいえると思いますが、最初期のモデルと出会えるのは本当に稀。
そいう意味でもラッキーな一本でした。

カテゴリ: 時計紹介

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Posted on 2010/09/03 Fri. 13:32    TB: 0    CM: 0

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